ヒトの発話について鳴き鳥から学べること
Nature Neuroscience
2019年8月13日
What songbirds can teach us about human speech
近くにいる成鳥のさえずりを学習している幼い鳴き鳥の聴覚皮質の深層に存在するニューロンが、その成鳥のさえずりの音響特性に同調するようになることを示した論文が、今週掲載される。この研究は、鳴禽類において音声コミュニケーションが聴覚符号化を作り上げる仕組みを明らかにしており、これと同様の過程がヒトの幼児期の発話学習を下支えしている可能性を示唆している。
ヒトと鳴禽類が一生持ち続ける聴覚技能とコミュニケーション技能は、幼少期に体験した聴覚手掛かりから発達する。その結果、ヒトの聴覚皮質は、他の音よりも発話音声に優先的に反応し、それと同様に、鳴禽類の聴覚皮質は、合成音よりもさえずりに優先的に反応する。しかし、この同調性が、幼少期からずっと固定されているのか、種特異的な発達の仕方があるのかは明らかでない。
今回、Sarah WoolleyとJordan Mooreは、キンカチョウ(Taeniopygia guttata)とオナガキンセイチョウ(Poephila acuticauda)という2種の鳴禽類のさえずりの発達と聴覚皮質におけるニューロンの同調性について調べた。さえずりの学習には、同種の他の個体から学ぶ場合と異種の「里親」であるジュウシマツ(Lonchura striata domestica)に教えられる場合がある。今回の研究では、幼鳥が、手本を示す個体が同種か異種かということとは無関係に、そのさえずりをまねることを学んでおり、幼鳥の聴覚皮質ニューロンが、学習したさえずりの特定の音に同調するようになったことが分かった。
WoolleyとMooreは、以上の研究知見によって、鳴禽類の聴覚符号化が幼少期の音声コミュニケーションによって作り上げられることが明らかになったと結論し、ヒトの場合に幼少期に言語特異的な音声に触れたことから成人期の音声知覚を予測できることは、この鳴禽類の場合と同様の過程を用いて説明できるという考えを示している。
doi: 10.1038/s41593-019-0458-4
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