注目の論文
音楽と発話に対するヒトとサルの脳の応答
Nature Neuroscience
2019年6月11日
Human and monkey brain response to music and speech
ヒトの脳の聴覚野には倍音に対する選好性が見られるが、マカクザルの脳にはこれが見られないことを報告する論文が、今週掲載される。
発話と音楽はヒトに特有なものと考えられており、そこに含まれる倍音の周波数成分が、ピッチ(音の高低の度合い)として認識される。ピッチを判別する能力は、発話と音楽にとって重要だ。ヒトの場合、ピッチの知覚に関係していると考えられている脳の聴覚野は、雑音よりも倍音に対して強く応答するが、これと類似した脳領域が他の動物に存在するかは分かっていない。
今回、Sam Norman-Haignereたちの研究グループは、機能的MRIを用いて、人工の倍音と録音されたマカクザルの発声などの天然の倍音に対するヒトとマカクザルの脳の応答を測定し、ピッチのない雑音に対する応答と比較した。1つの実験では、4人のヒト被験者が倍音に対して強い応答を示したが、3匹のマカクザルにはこのような応答はほとんど見られなかった。別の実験では、マカクザルの自然な発声と、それを加工して倍音の代わりに雑音を組み込んだ音声に対する6人のヒトと5匹のマカクザルの脳の応答を測定した。ヒトの脳は、倍音の発声に対する選択性がマカクザルの脳よりも強かった。
Norman-Haignereたちは、聴覚皮質の構成がヒトとマカクザルで異なっており、発話と音楽がヒトにとって独自の重要性を持っていることが原因かもしれないと結論付けている。
doi: 10.1038/s41593-019-0410-7
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