注目の論文

【社会学】映画俳優人生における最も生産性の高い時期を予測する

Nature Communications

2019年6月5日

Social sciences: Predicting a screen actor’s most productive year of work

俳優の映画やテレビの仕事の生産性が最も高い年が、過去にあったのか、それとも今後のことになるのかを予測できる機械学習法について報告する論文が、今週掲載される。この論文では、生産性が最も高い年は俳優のキャリアの初期近くにある傾向があり、女優の方がこの効果はより顕著で、男優よりもキャリアが短くなる可能性が高いと報告されている。

映画俳優の失業率は90%で、俳優の仕事で生計を立てている者はわずか約2%であるため、単純に十分な仕事(持続的生産性)のあることが、多くの俳優にとっての成功を意味している。

今回、Lucas Lacasaたちの研究グループは、世界的なデータベースを用いて、1888~2016年の200万人以上の映画俳優のキャリアにわたる生産性の時間的パターンを調べた。その結果、大部分の俳優はそのキャリアにおいて高く評価された仕事の数が非常に少なかった一方、ごく一部の俳優ではこうした仕事の数が100を超えることから、仕事の割り当てに関する「豊かな者がさらに豊かになる」機構が示唆された。また、俳優のキャリアにおいて仕事に費やした時間の割合は予測不能だが、その活動期はホットストリーク(仕事が続く流れ)とコールドストリーク(全く仕事のない流れ)の時期に分けられ、仕事のあった年の翌年は仕事を得る可能性が高く、仕事がなかった年の翌年は仕事を得る可能性が低くなる傾向が見られることが分かった。Lacasaたちは、それぞれの俳優について、生産性が最も高い年は過去のことなのか今後のことなのかを、仕事の履歴から85%の精度で予測できることを明らかにした。

doi: 10.1038/s41467-019-10213-0

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