注目の論文
【言語学】シナ・チベット語族の起源
Nature
2019年4月25日
Linguistics: The roots of the Sino-Tibetan language family
世界で2番目に大きな語族であるシナ・チベット語族の起源についての調査結果を報告する論文が、今週発表される。この研究では、古代アジアにおけるヒト集団の移動に関する新知見も得られた。
シナ・チベット語族は、インド・ヨーロッパ語族に次いで2番目に話者数が多く、計約15億人に上り、中国語、ビルマ語、チベット語をはじめとする400種以上の言語と方言を含む。シナ・チベット語族の発祥地と時期については、言語学者の間で論争があり、「北方起源仮説」では、約4000~6000年前に中国北部の黄河流域に出現したとされ、「南西起源仮説」では、9000年以上前に東アジアの南西部に出現したとされる。
今回、Li Jinたちの研究グループは、シナ・チベット語の辞書に記載された109の単語の根源的意味の統計解析を行い、シナ・チベット語は約5900年前に分岐した可能性が非常に高く、北方起源仮説に合致すると結論付けた。シナ・チベット語が2つの言語群に分かれたのは、西方のチベットと南方のミャンマーに移動した集団と、東方と南方に移動して漢民族となった集団に分岐した時だったと考えられている。今回の知見は、言語が農業とともに広がるという学説に合致しており、また、ヒト集団が移動した時期は、独特な建築様式や陶器の様式が南方へ分散したことを示す考古学的証拠と一致している。
doi: 10.1038/s41586-019-1153-z
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