注目の論文
腸内の細菌断片を中和すると自己免疫が改善する
Nature Microbiology
2019年3月5日
Neutralizing gut bacterial fragments improves autoimmunity
細菌細胞壁の特定の断片を中和する抗体が、マウスで数種類の自己免疫疾患の程度を軽減することを報告する論文が、今週掲載される。この中和治療が安全で、ヒトの自己免疫疾患患者にも有効かを判断するには、さらに研究を進める必要がある。
細菌は、強力な免疫系活性化因子である。以前に行われた研究では、ヒトの微生物相(ヒトの体内や体表に正常に生息している細菌)と自己免疫疾患の発症に関係があることが示唆されている。また、微生物相から細胞壁の断片が血液中に放出される可能性があることや、そうした細胞壁が動物の自己免疫疾患を悪化させる場合があることも明らかにされている。
今回Yue Wangたちは、ペプチドグリカンサブユニットと呼ばれる細胞壁断片が免疫系を活性化し、自己免疫性関節炎を悪化させることをマウスで明らかにした。次に、Wangたちはこの断片を特異的に中和する抗体を開発し、この抗体をマウスに投与するといくつかの自己免疫疾患の程度が軽減したり、発症が減ったりすることを示した。
この研究によって、自己免疫疾患に対する新しい治療の道が開ける可能性がある。望ましくない副作用の可能性がある免疫抑制剤を使う代わりに、細菌性の免疫シグナルを除去する抗体を投与するという方法である。
doi: 10.1038/s41564-019-0381-1
注目の論文
-
8月14日
健康科学:都市設計は身体活動に影響を与えるNature
-
8月12日
がん:膵臓がんまたは大腸がんの患者において有望な効果を示すワクチンNature Medicine
-
8月12日
生態学:熱波が熱帯の鳥類の個体数減少と関連しているNature Ecology & Evolution
-
8月8日
考古学:スペインの洞窟で新石器時代の人肉食の証拠が発見されるScientific Reports
-
8月7日
人類の進化:スラウェシ島における初期ホミニンの居住Nature
-
8月7日
生態学:タコの観察がソフトロボットの設計に新たな着想を与えるかもしれないNature