注目の論文
がん免疫療法の副作用である大腸炎の症状を細菌移植によって軽減する
Nature Medicine
2018年11月13日
Bacteria transplants mitigate colitis from cancer immunotherapy
がんの免疫療法の副作用である重い大腸炎を発症した2人の患者で、健康なドナーからの腸内細菌の移植という治療が行われた。
免疫療法はがんの治療に大変革をもたらした。この方法は一定の成功を収めているが、免疫が関連した強い副作用を伴うことが多く、これは患者にとっては有害で、治療が中断されることもしばしばである。このような副作用の1つが重篤な大腸炎であって、治療を受けた患者では大腸内壁が炎症を起こし、それに伴って腸内マイクロバイオームが変化する。
Y Wangたちは、免疫療法を受けた後に大腸炎を発症した2人のがん患者に、健康なドナーの糞便中微生物相を移植した。移植後に患者の大腸炎の症状は軽減し、移植の前後に患者から採取した糞便試料を調べたところ、腸を保護するように働く細菌群が移植によって腸内マイクロバイオーム中に復活し、大腸炎に伴う炎症が消散したことが分かった。
これらの知見は、もっと人数の多い患者集団で臨床試験として確認する必要があるが、がんの免疫療法の大きな問題である副作用の1つが糞便移植によって治療できる可能性を実証したものといえる。
doi: 10.1038/s41591-018-0238-9
注目の論文
-
8月14日
健康科学:都市設計は身体活動に影響を与えるNature
-
8月12日
がん:膵臓がんまたは大腸がんの患者において有望な効果を示すワクチンNature Medicine
-
8月12日
生態学:熱波が熱帯の鳥類の個体数減少と関連しているNature Ecology & Evolution
-
8月8日
考古学:スペインの洞窟で新石器時代の人肉食の証拠が発見されるScientific Reports
-
8月7日
人類の進化:スラウェシ島における初期ホミニンの居住Nature
-
8月7日
生態学:タコの観察がソフトロボットの設計に新たな着想を与えるかもしれないNature