注目の論文
てんかんの根底にある「ありふれた」変異の同定
Nature Genetics
2009年1月12日
Common mutation underlying epilepsy identified
15番染色体上の欠失は、これまでに同定された一般的なてんかんの危険因子の中で最も一般的な危険因子であることを示す論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。
てんかん(発作性疾患)の全症例の最大3分の1までは、特発性全般てんかん(IGE)と呼ばれ、その遺伝的要因はほとんど解明されていない。これまでの研究で、その遺伝的危険因子となる可能性があるものが15番染色体上の1つの領域に同定され、最近になって、特発性全般てんかん患者の遺伝子には欠失があり、それによって、精神遅滞、統合失調症、自閉症、てんかんのさまざまな組み合わせを発症するリスクが高まることが明らかになった。
今回、ケルン大学(ドイツ)のT Sanderらの研究者コンソーシアムは、この欠失が精神遅滞や精神障害のないIGE患者の約1%にみられることを報告している。この結果は、15番染色体上の欠失が、さまざまな神経疾患を引き起こすことがあり、その最も一般的な結果がIGEであることを示唆している。この欠失には、少なくとも7つの遺伝子が関係しており、その1つであるCHRNA7遺伝子は、神経細胞のシナプスでのシグナル伝達を制御する。この遺伝子ファミリーに属する別の遺伝子にみられる変異は、まれな形態のてんかんを引き起こすことが知られており、このことから、15番染色体とIGEの関連性の根底にあるのがCHRNA7遺伝子の欠失である可能性が示唆されている。
doi: 10.1038/ng.292
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