注目の論文
ミミズとヒルの血を吸う蚊が見つかる
Communications Biology
2018年7月12日
Mosquito species feeds on earthworm and leech blood
吸血宿主が無脊椎動物(ミミズとヒル)のみである蚊種について報告する論文が、今週掲載される。この論文から、蚊の宿主種の同定と血液媒介病原体の伝播の把握に現在用いられている方法について、無脊椎動物の宿主も対象に含めるよう修正されるべきことが示唆される。
蚊は、宿主間で血液中の病原体の伝播を引き起こす。疾患の伝播を監視する上で重要なのが蚊の宿主利用パターンの把握であり、そのための方法の1つが、捕獲した蚊の体内にある血粉の解析だ。こうした解析方法では、全ての血粉が脊椎動物の宿主(例えば、ヒト、鳥類または爬虫類)に由来することが前提となっている。これは、既知の全ての吸血蚊が、脊椎動物の血を吸っていることによる。
今回、Lawrence Reevesたちの研究グループは、米国フロリダ州に生息する蚊種であるUranotaenia sapphirina がミミズとヒルの血を吸うことを観察した。Reevesたちは、最近血を吸った雌のU. sapphirina を採集して、脊椎動物と環形動物(ミミズとヒル)のDNAの証拠を調べた。その結果、宿主のDNAを同定可能だった全ての蚊から環形動物の血液が検出されたが、脊椎動物の血液は検出されなかった。一方、U. sapphirina の近縁種であるU. lowiiからは、カエルとヒキガエルの血を吸っていることを示す証拠しか見つからなかった。これらの他にも環形動物やその他の無脊椎動物の血を吸う蚊種がいるかどうかを突き止めるには、さらなる研究が必要とされる。
doi: 10.1038/s42003-018-0096-5
注目の論文
-
7月16日
神経科学:老化と神経変性疾患のバイオマーカーを解明するNature Medicine
-
7月15日
健康:健康な高齢化における世界的な格差の要因の評価Nature Medicine
-
7月10日
ゲノミクス:タンパク質は古代のエナメル質に保存されているNature
-
7月10日
気候変動:クジラの糞が温暖化に関連する有毒藻類ブルームの大発生を記録するNature
-
7月8日
がん:1,100万人を超えると予測される胃がんの原因は細菌かもしれないNature Medicine
-
7月3日
ゲノミクス:古代DNAがエジプト人の祖先の謎を解明するNature