注目の論文
【動物学】ウミガメの腫瘍とヒトのがんは似ている
Communications Biology
2018年6月8日
Zoology: Sea turtle tumours are similar to human cancers
ウミガメの腫瘍とヒトのがんには、同じような遺伝的脆弱性があることを報告する論文が、今週掲載される。この新知見は、ウミガメの腫瘍の治療にヒトのがん治療法を使用する道を開くかもしれない。
ウミガメの集団は現在、絶滅の脅威にさらされているが、線維乳頭腫症(フィブロパピロマ)と呼ばれる致死性の悪性腫瘍が保全活動の妨げになっている。生息地の破壊をはじめ、人間が関わる活動が、この腫瘍ウイルスが広まった原因の1つであり、その他の野生生物の新興感染症の蔓延にも関係している。しかし、どの遺伝子が腫瘍の発生を促進するかなど、このウイルスと宿主であるウミガメとの間の動態については、ほとんど分かっていない。
今回、David Duffyたちの研究グループは、ヒトのがんに現在用いられているプレシジョン・メディシンの手法を用いて、ウミガメの線維乳頭腫症の腫瘍が増殖する原因となる分子シグナル伝達事象を調べた。Duffyたちは、腫瘍発生過程で起こる遺伝子発現の変化を調べ、宿主の遺伝子の発現が変化することで腫瘍の発生が促進され、ウイルス由来の遺伝子の影響は受けていないことを明らかにした。
Duffyたちは、宿主のこうしたドライバー遺伝子が、ヒトのがんの治療に用いられている抗腫瘍療法の標的になる可能性があると考えている。今回の研究結果は、発生頻度が低く、研究が進んでいない野生生物の病気に取り組む上で、プレシジョン・メディシンの手法を用いることの力を実証している。
doi: 10.1038/s42003-018-0059-x
注目の論文
-
9月17日
神経科学:ヒトの脳オルガノイドがマウス内で神経ネットワークを形成するNature
-
9月16日
考古学:すべての道がローマにつうじるわけではない――ローマ帝国の道路網を探るNature Communications
-
9月15日
神経科学:脳インプラントが発話とジェスチャーを結びつけるNature Neuroscience
-
9月11日
考古学:中国南西部で明らかになったデニソワ人の生活Nature
-
9月9日
神経科学:閉経期における脳の変化は、思春期や妊娠時とは異なるNature Communications
-
9月3日
加齢:GLP-1受容体作動薬が雌マウスにおいて健康状態および老化に関連する指標の改善に関連Nature
