注目の論文
ヒトゲノムの中から毛髪の色のルーツを探し出す
Nature Genetics
2018年4月17日
Combing the human genome for the roots of hair colour
さまざまな毛髪の色にどんな遺伝子が関連するかが明らかになった。この新知見は、ヒトの毛髪の色素沈着の遺伝的起源を明確にするものであり、毛髪の色を、DNAの証拠のみからある程度正確に予測することを可能とするため、集団遺伝学や法医科学の研究に有益な情報を提供できるようになるだろう。
ヒトにおける自然な色素沈着(例えば、皮膚や毛髪の色)は、2種類のメラニンによって起こる。双生児の研究では、毛髪に関して、メラニンの産生と分布の大部分が遺伝的に受け継がれるものであり、色の多様性については、約97%が遺伝要因によることが明らかになっている。今回、Pirro Hysi、Manfred Kayserたちの研究グループは、約30万人のヨーロッパ人(黒髪、金髪、こげ茶色の髪、うす茶色の髪、赤毛の人々)から得た遺伝的データを解析した。その結果、毛髪の色を決定する上で作用する可能性のある新規候補遺伝子が100種以上同定された。その中には、天然色素であるメラミンの沈着と産生に作用するものも含まれている。
この研究グループは、これらの関連遺伝子を基にヒトの毛髪の色を予測することも試みた。その結果、黒髪と赤毛を高い精度で予測できたが、金髪と茶色の髪の予測は簡単ではないことが判明した。また、上記論文では、女性においては薄い色の髪を持つ人々の割合が大きいことも報告されており、性別と毛髪の色が関連していることが示唆されている。
doi: 10.1038/s41588-018-0100-5
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