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ソ連崩壊後のエストニアにおける能力主義の遺伝的側面

Nature Human Behaviour

2018年4月10日

Genetic meritocracy in post-Soviet Estonia

人々の学習および職務上の成績の多くは、ソ連崩壊後のエストニアのような能力主義の強い社会システムでは、ソ連時代と比較して、世代を越えて受け継がれる遺伝要因によって説明されることを明らかにした論文が、今週掲載される。

人々の生活レベルや社会経済的地位は、遺伝的要因と環境的要因を組み合わせることで説明できる。Kaili RimfeldとRobert Plominの研究チームは、1万2500人のエストニア人の遺伝子を、学習および職務上の成績に関する情報と共に解析した。被験者は、ソ連時代に育ったグループと、1991年以降、すなわちソ連崩壊後の独立したエストニアにおいて、中等教育やさらに上級の教育を受けたグループとに分けられた。国家が独立すると、教育機会や就業機会に関して能力主義が強まるような変化が見られると、一般的には考えられている。

研究チームは、能力主義の強いソ連崩壊後の資本主義社会においては、ソ連時代の共産主義社会と比較して、就学年数や職業的地位に影響を及ぼすことが知られている遺伝子の違いによって、こうした人生の達成度の差異を2倍多く説明できることを明らかにした。今回得られた知見から、社会構造や機会均等に生じる大きな変化が、社会的な達成が遺伝要因を反映する度合いに対してどのような影響を及ぼし得るかが示された。

doi: 10.1038/s41562-018-0332-5

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