注目の論文
【神経科学】新しい装着型脳スキャナー
Nature
2018年3月22日
Neuroscience: A new wearable brain scanner
装着型の脳スキャナーは、動いている被験者の脳の活動を記録できる。今週掲載される論文には、このスキャナーを組み込んだヘッドセットの試作品について記述されている。このヘッドセットは、これまで調べることのできなかった状況において脳機能の評価を行う上で役立つ可能性がある。
脳磁気図検査(MEG)や機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いた従来の研究は、成人の被験者が大掛かりな脳走査装置の中でじっとしている必要があるため、有効性に限界がある。今回、Matthew Brookesたちの研究グループは、量子センサーおよび背景磁場をゼロにする新技術を組み込んだMEGシステムを開発した。今回開発された軽量ヘルメット型スキャナーは、ミリ秒の分解能でMEGデータを記録できる。今回の研究では、この装置の有効性を証明するために、1人の被験者に着用させた上でうなずき、伸び、飲水、球技などの自然な動きをさせて測定を行った。その結果、現在の最先端の脳スキャナーに十分匹敵する確実な記録が得られた。
このMEGシステムの潜在用途は幅広く、全く新しいさまざまな状況(例えば、社会的交流や外部環境でのナビゲーション)で脳機能を評価できるようになる上、運動障害の乳児、小児、および成人の脳の活動を初めて直接測定できるようになる。このシステムは、重篤な精神疾患の患者の診断と管理に知見をもたらし、発達障害と変性疾患の患者の脳機能を評価する上で役立つことが期待されている。
doi: 10.1038/nature26147
注目の論文
-
2月13日
動物の行動:カメは磁気地図が食べ物に導くと踊るNature
-
2月13日
古生物学:初期の尾の短い鳥Nature
-
2月6日
遺伝学:古代のゲノムがヤムナ文化の起源の手がかりとなるNature
-
2月6日
古生物学:古代の水鳥の謎を解く頭蓋骨の発見Nature
-
2月6日
疫学:オミクロン以前と以後のSARS-CoV-2に対する免疫反応Nature
-
2月4日
生物学:人体の臓器におけるマイクロプラスチックの蓄積を調査するNature Medicine