進化:石器に関する学説がブラジルのサルに叩き壊される
Nature
2016年10月20日
Evolution: Brazilian monkeys smash stone-tool theory
ブラジルに生息する野生のヒゲオマキザル(Sapajus libidinosus)は、意図的に石を壊すことがあり、その結果出来上がった石の剥片が初期ヒト族の道具である刃の鋭い剥片石器に似ていることを報告する論文が、今週掲載される。ヒゲオマキザルがなぜこうした行動をとるのかは分かっていないが、今回の研究結果は、鋭利な石を作る行為がヒト族に独自なものではないことを示唆している。
古人類学者は、剥片石器の顕著な特徴(例えば、鋭い刃先)を使って、遺跡発掘現場で見つかった石の破片を分別して、自然に壊れてできた破片の中から石器を見つけ出している。これまでに行われたヒト族の意図的な剥片の作製と野生の霊長類による石器利用の比較研究では、西アフリカのチンパンジーが研究対象になっていた。
今回、Tomos Proffittの研究チームは、ブラジルのセラ・ダ・カピバラ国立公園でヒゲオマキザルを観察し、石の破片を使っているサルが見つかると、直ちにその破片を集めた。それと同時に、同じ地域の地表調査と遺跡発掘現場でも石の破片を集めた。また、ヒゲオマキザルは、石に別の石を何度も叩きつけ、両方の石の表面をつぶし、石を壊して、無意識に石の剥片を作り出し、これが意図的に作り出されたヒト族の石器の特徴と形状を持っていたことも明らかになった。このサルは、壊れたハンマーストーンの破片を新たなハンマーとして再利用しているところも観察されたが、壊れた石器の鋭利な刃先を使って他の物体を切断したり、こすりとったりすることは観察されていない。
Proffittたちは、補強証拠(例えば、切り痕のある骨)がない場合には、鋭利な剥片の作製を我々の祖先による意図的な切断用剥片石器の作製と結び付けて考えることはできなくなったという結論を示している。
doi: 10.1038/nature20112
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