注目の論文
妊娠中の非ヒト霊長類のジカウイルス感染
Nature Medicine
2016年9月13日
Zika virus infection in a pregnant nonhuman primate
妊娠中にジカウイルス(ZIKV)に感染したブタオザルの1頭で、胎児の脳に病変が生じているのが見つかった。これは、ZIKVに感染した非ヒト霊長類の胎児で脳損傷が見つかった初めての例である。ZIKV感染の非ヒト霊長類モデルはすでに作製されているが、妊娠中にZIKVに感染した女性の胎児に見られる小頭症のような脳の異常は、ZIKV感染の動物モデルでこれまで報告されていなかった。
ZIKV感染をもっと忠実に再現できる動物モデルの開発を試みているK A Waldorf、M Gale Jr.、L Rajagopalたちは、妊娠第三期のブタオザルにZIKVを感染させた。妊娠中のブタオザルには発疹や発熱といった病気の兆候は見られなかったが、感染10日後までに胎児に脳の異常が生じ、脳の発達遅延の証拠が認められた。一方、対照の胎児には異常は見られなかった。この結果は1頭の動物だけで観察された限定的なものだが、著者たちはブタオザルがヒトのZIKV感染の経過研究や、治療法やワクチン候補の検証に役立つ動物モデルになるのではないかと考えている。
doi: 10.1038/nm.4193
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