注目の論文
結核菌のステルス方式
Nature Immunology
2008年9月15日
The tuberculosis bacterium's stealthy ways
結核のほとんどの原因となる結核菌Mycobacterium tuberculosisは、感染細胞を死に至らせる免疫応答が誘発されるのを阻止することによって、感染を広げていくことがわかった。この研究によって、結核を防ぐ阻害薬の設計に新たな道が開ける可能性がある。
結核菌がマクロファージとよばれる免疫細胞に感染すると、この細胞が一時的に、菌を増殖させる「培養器」の働きをする。最終的にマクロファージは破裂して結核菌が放出され、他の細胞に感染する。細菌が感染したマクロファージは、正常ならアポトーシスとよばれる細胞死の経過をたどり、免疫応答の引き金を引く。
H Remoldたちは、マクロファージがアポトーシスによって死ぬのを結核菌が妨げ、代わりにマクロファージを壊死させることを発見した。壊死はアポトーシスとは違った形の細胞死で、壊死の場合、結核菌は宿主細胞から脱出して新たな細胞に感染できる。今回の研究によって結核菌が免疫系から逃れる仕組みが明らかになったことで、結核の発症について大きな手がかりが得られた。
doi: 10.1038/ni.1654
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