注目の論文
発作を酸性度で抑止
Nature Neuroscience
2008年6月9日
Helping seizures with acidity
Nature Neuroscience(電子版)に掲載される研究によると、脳内のある酸感受性分子の活性化は、てんかんの重い発作を止めることができる。てんかんは多くの場合、治療がとても難しい病気であり、てんかんを標的にした薬剤開発の一助となるだろう。
てんかん発作は二酸化炭素濃度の高い空気を呼吸すると止められることがある。この余分な二酸化炭素は脳を酸性化するが、酸性度が高まるとなぜ発作の原因になる神経細胞の発火増大が止まるのかはいまだ知られていない。J Wemmieらは、神経細胞膜の酸感受性チャネルの一種、ASICチャネルがかかわっている可能性を示唆している。
この仮説を検証するため、チャネル分子ASIC1aを欠損したマウスに発作を誘発した。このマウスは同様に処置された正常マウスよりもひどいけいれんに襲われ、発作のため死ぬことも多かった。正常マウスは二酸化炭素吸入で発作が治まったが、ASIC1a欠損マウスの発作には何の効果もなかった。抑制性神経細胞はASIC1aを特に豊富に含み、酸性環境で強く活性化されることも認められた。
酸性度が発作を止める仕組みは、この結果から説明されるかもしれない。また、このことは、ASIC1aがてんかん薬開発の有望な標的である可能性を示唆する。
doi: 10.1038/nn.2132
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