注目の論文
地球磁場の偏心に対する内核の影響
Nature Geoscience
2012年7月2日
Inner core influence on magnetic field eccentricity
地球内核の非対称な成長は惑星の中心からずれた地球磁場を生成すると、今週号のNature Geoscience onlineに発表された論文が報告している。外核とマントル境界に沿った非対称は磁場の構造に影響を与えていると考えられているが、この研究は内核の非対称も重要になり得ることを立証している。
Peter OlsonとRenaud Deguenは数値モデルを用いて地球磁場を生成する駆動力をシミュレーションした。内核は非対称に成長し、片方の半球では固化が、もう片方では融解が起きていると考えられている。著者等はモデルにこの非対称を取り入れることで、磁場の軸が地球中心から固化が早く起きている半球側へとすれることを示した。地球磁場を再現した結果は、双極子磁場の軸がおよそ過去1万年の間に西半球へ、またその前には東半球へずれていたことを示している。著者等のモデルは、内核成長が最も早かった場所もまた過去数百万年にずれていた可能性があることを示唆している。
関連するNews and Viewsの記事でChristopher Finlayは「簡単な数値ダイナモ計算の詳細を地球の核に外挿することには議論の余地があるが、地球磁場を制御するメカニズムに対して新鮮な見通しをもたらす考察は期待をかき立てるものである」と述べている。
doi: 10.1038/ngeo1506
注目の論文
-
9月17日
気候変動:温暖化が熱帯地域の土壌からの二酸化炭素排出を増加させるNature Communications
-
9月12日
環境:アマゾン先住民の領域が人間の健康に恩恵をもたらすCommunications Earth & Environment
-
9月11日
惑星科学:火星の泥岩に残る特徴が古代の環境条件を解明する手がかりとなるNature
-
9月11日
惑星科学:地球近傍小惑星リュウグウの母天体には長い流体の歴史が存在するNature
-
9月11日
環境:2023年のカナダ山火事の長期的な影響を評価するNature
-
9月11日
気候変動:主要な炭素排出源が熱波の強度と発生確率に影響を及ぼしているNature