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気候科学:300万年にわたる氷と気候の物語

Nature

2026年3月19日

Climate science: A 3-million-year-old tale of ice and climate

Nature

南極の古氷床コアの分析によると、過去300万年間の主要な気候変動は、温室効果ガスよりも海洋温度の変化によってより強く影響を受けていたかもしれないことを報告する2つの論文が、Nature に掲載される。この発見は、地球の過去の気候に関する新たな知見をもたらすものである。

過去300万年間、地球の気候は徐々に寒冷化し、氷河周期が長くなるにつれて、2つの重要な変化を経験してきた。約260万年前、北半球および高緯度地域に氷床が形成され、約4万年周期の氷河サイクルが見られた。約120万年前には、この周期が約10万年に延長し、氷床の拡大を可能にした。しかし、これらの変化を駆動した要因については議論が分かれていた。氷床コアは、温室効果ガスや海水温に関連する元素の変化を記録している。過去7年間に南極東部のアラン・ヒルズ・ブルー・アイス・エリア(Allan Hills Blue Ice Area)から採取されたコアにより、これまでの記録は少なくとも200万年分延長された。

2つの独立した論文において、Sarah Shackletonら(ウッズホール海洋研究所〔米国〕)およびJulia Marks-Petersonら(オレゴン州立大学〔米国〕)は、アラン・ヒルズの氷床コアを用いて、過去300万年間にわたる平均海水温および温室効果ガス濃度の記録をそれぞれ提示している。その結果、290万年前から120万年前にかけてメタン濃度に有意な変化は見られず、二酸化炭素濃度はわずかに低下(約20 ppm)したことが判明した。その後、120万年前から80万年前までは濃度が安定していた。この発見は、温室効果ガスの濃度が2回の気候変動のおもな原因ではなかった可能性を示唆している。しかし、海面水温の変化は気候の移行と関連しているようである。海水温の代用指標となる希ガス濃度(キセノンとクリプトンは異なる温度で溶解する)の測定結果によると、約270万年前に著しい冷却が見られ、その後、約120万年から80万年前にかけては水温が安定していたことが示されている。

新たな記録は、ブルー・アイス地域が氷床コアの記録範囲を拡大できることを示している。著者らは、氷床コアは連続的ではなく、あくまで「スナップショット(断片的な記録)」に過ぎないものの、それでも数百万年にわたる気候の進化に関する知見を提供していると指摘している。

  • Article
  • Published: 18 March 2026

Marks-Peterson, J., Shackleton, S., Higgins, J. et al. Broadly stable atmospheric CO2 and CH4 levels over the past 3 million years. Nature 651, 647–652 (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-025-10032-y

  • Article
  • Published: 18 March 2026

Shackleton, S., Hishamunda, V., Yan, Y. et al. Global ocean heat content over the past 3 million years. Nature 651, 653–657 (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-026-10116-3

News & Views: Climate snapshots trapped in ancient ice tell a surprising story
https://www.nature.com/articles/d41586-026-00636-3

 

doi: 10.1038/s41586-025-10032-y

英語の原文

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