古生物学:古代の植物はいかにして大量絶滅を生き延びたのか
Nature Ecology & Evolution
2026年4月21日
Palaeontology: How ancient plants survived a mass extinction
地球史上最も深刻な生物多様性の喪失とされるペルム紀・三畳紀(Permian–Triassic)の大量絶滅が起こった約2億5200万年前、その当時に古代の植物がどのように生存していたのかについての知見を報告する論文が、Nature Ecology & Evolution にオープンアクセスで掲載される。この発見は、将来想定される深刻な気候温暖化シナリオに対して、現代の植物の一部がどのように反応し得るのかを考える手がかりとなるかもしれない。
「大絶滅(Great Dying)」とも呼ばれるペルム紀・三畳紀の大量絶滅は、大規模な火山噴火によって引き起こされたと考えられている。これにより、地球規模の壊滅的な温暖化、大気中の二酸化炭素濃度の上昇、広範囲にわたる海洋無酸素化(海水中の酸素濃度の低下)、および海洋酸性化が生じた。その後、陸上の植生に大きな変化が起きた。かつて広大な地域を覆っていた森林は、ヒカゲノカズラ類(lycophytes;小型の原始的な維管束植物)が優勢な、単純で多様性の低い植物群落へと置き換えられた。これらの植物がどのように存続したかを理解することは、この危機の後、陸生生態系がどのように回復したかを解明する一助となるかもしれない。
Zhen Xuら(リーズ大学〔英国〕)は、中国南西部から発見された285点のヒカゲノカズラ類の化石と、既知の文献から得られた200点の化石を調査し、それらの特徴を現生および化石の近縁種と比較した。ペルム紀・三畳紀のヒカゲノカズラ類は、現代のミズニラ(quillworts;非常に小さく、しばしば半水生の植物)との親和性を示している。それらの炭素同位体比は、共存していた植物と比較して比較的濃縮されており、このパターンは現代のミズニラで観察されるものと類似していた。この特徴は、ストレスによって引き起こされる光合成のシフト、すなわち「ベンケイソウ型有機酸代謝(CAM:crassulacean acid metabolism)」として知られる、より柔軟で水利用効率の高い経路への移行と一致している。この適応が、これらの植物が三畳紀初期(2億5100万~2億4600万年前)の極限的な環境条件を生き延びるのに役立った可能性がある。気候シミュレーションによると、これらのヒカゲノカズラ類は、日中の最高気温が定期的に40℃を超え、局所的な地表環境では65℃に達した可能性のある地域に生息していた。
これらの知見は、ベンケイソウ型有機酸代謝を利用する能力が、これらのヒカゲノカズラ類が極度の暑さと高濃度の二酸化炭素に耐えるのに役立った可能性を示唆している。今日、ベンケイソウ型有機酸代謝光合成は特に多様な被子植物群に見られ、そこでは独立して複数回進化しており、極限環境に対する柔軟な適応としての重要性を浮き彫りにしている。ただし、著者らは、この時代の化石記録は乏しく、すべての植物群を直接比較できるわけではないため、不確実性が残っているとしている。
- Article
- Open access
- Published: 20 April 2026
Xu, Z., Hilton, J., Yu, J. et al. CAM photosynthesis may have conferred an advantage during the Permian–Triassic mass extinction event. Nat Ecol Evol (2026). https://doi.org/10.1038/s41559-026-03026-0
News & Views: Flexible photosynthesis at the end Permian
https://www.nature.com/articles/s41559-026-03052-y
doi: 10.1038/s41559-026-03026-0
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