考古学:マオリ集団の植物中心の食生活を示す証拠
Nature Communications
2026年4月8日
Archaeology: Evidence of plant-based diets among Māori
18世紀のアオテアロア(Aotearoa;ニュージーランドのマオリ〔Māori〕語名)における内陸部の一部のマオリ集団は、ほぼ完全に植物由来の食事をとっていたかもしれないことを報告する論文が、オープンアクセスジャーナルNature Communications に掲載される。著者らは、この研究がアオテアロアのマオリ集団におけるこのような食生活に関する初の直接的な証拠であると述べている。
アオテアロアの初期のマオリ社会は、狩猟、漁労、採集、および園芸を行い、陸と海の資源を幅広く取り入れた食生活を送っていたことが知られている。しかし、定住化が進むにつれ、食生活は地域ごとに特化したものとなっていった。考古学的および歴史的証拠によると、現在のハミルトン(Hamilton〔Kirikiriroa;キリキリロア〕)市近郊の内陸部に居住していたマオリの集団は、16世紀から園芸活動を活発化させ、サツマイモ(kūmara)、タロイモ(根菜)、ヤムイモ(uwhikāho)を栽培していた。こうした園芸の証拠があるにもかかわらず、この地域のマオリの食生活については、これまで十分に明らかにされてこなかった。
Rebecca Kinaston博士ら(BioArch South〔ニュージーランド〕)は、Waka Kotahi Tangata Whenuaワーキンググループ(この土地に対する慣習的権限を持つ、地元のワイカト・マオリ〔Waikato Māori〕、Ngāti Maahanga、Ngāti Wairere、Ngāti Koroki Kahukura、およびNgāti Hauāの代表者たち)と協力し、7名のワイカト・マオリの祖先の人骨(kōiwi tangata)を調査し、この地域における過去の食生活と移動パターンを解明した。調査対象となった人骨は、西暦1700年から1780年の間に生きていたと推定された。これらの祖先(tūpuna)の同位体分析によると、この集団はおもに植物性食(サツマイモやタロイモなどの主食)を摂取しており、肉や魚などのタンパク質が豊富な食品を摂取した痕跡はほとんど見られなかった。この発見は、同地域における既存の園芸活動の証拠に加え、柔らかいでんぷん質の食物摂取にともなう歯の摩耗や虫歯のパターンによっても裏づけられている。この集団に含まれる2人の子供(男児1人、女児1人)は地元出身と見られ、生後2~3年以内に植物性食品への離乳が進んだ可能性が高い。
本研究は、マオリ集団がおもに植物性の食生活を送っていたことを示す、初めて確認された直接的な証拠を提供するものであり、内陸部のアオテアロアにおいて、集約的な園芸活動と地域に根ざした環境知識が、いかにして日々の食の選択や食料安全保障を形作っていたかを明らかにしている。
- Article
- Open access
- Published: 07 April 2026
Kinaston, R.L., Keith, S., Hudson, B. et al. Horticultural intensification and plant-based diets of 18th century CE Waikato Māori in Aotearoa New Zealand. Nat Commun 17, 3040 (2026). https://doi.org/10.1038/s41467-026-70128-5
doi: 10.1038/s41467-026-70128-5
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