生態学:今後20年が英国の生物多様性保全の鍵となる
Nature Communications
2026年4月1日
Ecology: Next 20 years critical to preserving British biodiversity
モデル研究によると、排出量の削減と、より持続可能な土地利用手法の導入は、英国全土で絶滅の危機に瀕している植物、鳥類、および蝶類の種数を減らすうえできわめて重要となる可能性があることを報告する論文が、オープンアクセスジャーナルNature Communications に掲載される。著者らは、今後20年間にどのような対策を講じるかが、英国における将来の生物多様性の損失を抑制するうえで決定的な意味を持つと示唆している。
英国における気候変動および土地利用の変化は、1900年以降、すでに種の減少や多くの種の絶滅の一因となっている。将来の気候条件下における生物多様性の変化を予測することは、効果的な保全政策を策定するうえでますます重要になっている。
Rob Cookeら(英国生態学・水文学センター〔英国〕)は、大規模な生物学的および環境データを用いて、2080年までの異なる気候および土地利用変化のシナリオが、英国固有の植物1002種、鳥類219種、および蝶類56種にどのような影響を与えるかをモデル化した。著者らは、すべてのシナリオにおいて種の絶滅リスクが高まったと報告している。最悪の排出および土地利用のシナリオ(高排出量に加え、広範な都市拡大、環境保護規制の緩和、および農業の集約化といった複数の要因を組み合わせたもの)では、2070年までに196種(20%)の植物、31種(14%)の鳥類、および7種(12%)の蝶が絶滅の危機に瀕すると予測されている。植物および鳥類については、これは英国における過去の絶滅率の3倍以上に相当する。排出量が少なく、より持続可能なシナリオ(排出量の低減に加え、混交林の増加や集約的な牧草地の減少などの要因を組み合わせたもの)では、2070年までに134種(13%)の植物、24種(11%)の鳥類、および6種(11%)の蝶が絶滅に向かっている可能性がある。これは、「最悪」の将来シナリオと比較して、種の減少が植物で32%、鳥類で22%、および蝶類で14%抑制されることを意味する。
これらの知見は、将来的に英国全土で相当な絶滅リスクが存在することを示唆しており、特に植物は環境変化に対して脆弱であると予測されている。著者らは、混交林の増加および牧草地の減少が種にとって有益である可能性に言及している。また、著者らは、今後20年以内に生物多様性を保護するための断固たる措置を講じることが、英国における気候変動と土地利用変化の最悪の影響を緩和するために不可欠であると結論づけている。
- Article
- Open access
- Published: 31 March 2026
Cooke, R., Burton, V.J., Brown, C. et al. Future scenarios for British biodiversity under climate and land-use change. Nat Commun 17, 2704 (2026). https://doi.org/10.1038/s41467-026-70064-4
doi: 10.1038/s41467-026-70064-4
注目の論文
-
4月1日
生態学:今後20年が英国の生物多様性保全の鍵となるNature Communications
-
4月1日
惑星科学:ニッケルを豊富に含む岩石が古代の火星の化学的性質を明らかにするNature Communications
-
3月27日
生物学:微小重力は卵子の受精と初期胚発生を阻害するCommunications Biology
-
3月27日
動物学:マッコウクジラの出産を「深掘り」するScientific Reports
-
3月26日
経済学:気候変動のコストNature
-
3月26日
気候:中程度の温暖化でも極端な地球規模の気候変動が起こるかもしれないNature
