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遺伝学:複数の集団で喫煙量の減少と関連する遺伝子変異

Nature Communications

2026年2月25日

Genetics: Gene variant associated with reduced smoking across populations

Nature Communications

ニコチン受容体遺伝子の変異は、重度の喫煙傾向が低いことと関連していることを報告する論文が、オープンアクセスジャーナルNature Communications に掲載される。この発見は、メキシコの集団から得られたデータにもとづき、さらにアジア系およびヨーロッパ系の祖先を持つ集団で検証された。

ニコチンが脳に及ぼす「報酬」効果を媒介するニコチン性アセチルコリン受容体をコードする遺伝子の変異は、個人の喫煙行動の変化と関連している。たとえば、これらの受容体(少なくとも9種類のサブユニットが存在する)の1つであるβ2サブユニットをコードするCHRNB2(cholinergic receptor nicotinic beta 2 subunit)遺伝子の変異は、重度の喫煙傾向の低下と関連している。しかし、ほかのニコチン性アセチルコリン受容体サブユニットをコードする遺伝子変異と喫煙頻度の関係を調べることで、さらなる知見が得られる可能性がある。

Veera Rajagopalら(リジェネロン遺伝学センター〔米国〕)は、メキシコシティの前向き研究(この集団の健康に影響を与える要因を調査する研究)に参加した37897名の現喫煙者のゲノムを解読した。著者らは、CHRNB3(β3サブユニットをコードする遺伝子)の変異が喫煙者の1日当たりの喫煙本数の減少と関連していることを特定した。より一般的な遺伝子型を持つ個人と比較して、変異型遺伝子を1コピーまたは2コピー持つ喫煙者は、それぞれ約21%、78%少ないタバコを消費した。この変異は、ほかの集団よりもメキシコ先住民系の祖先を持つ人々でより頻繁に観察された。同様の効果は、英国バイオバンクの欧州系祖先を持つ約13万人と、バイオバンク・ジャパンの東アジア系祖先を持つ約18万人の集団においても、CHRNB3変異に関連して確認された。著者らは、これらの変異と喫煙依存性の関係を完全に評価するには、より大規模なコホートと、ニコチン依存性を示す臨床指標のより確固たる調査が必要だと指摘している。

これらのデータは、総合的に、CHRNB3の活性に影響を与える遺伝子変異が多様な祖先集団において、喫煙者の1日当たりの喫煙本数を減少させる可能性を示している。この知見は、β3サブユニットの阻害がニコチン依存症に対する潜在的な治療戦略となり得ることを示唆している。

Rajagopal, V.M., Ziyatdinov, A., Joseph, T. et al. Rare coding variants in CHRNB3 associate with reduced daily cigarette smoking across ancestries. Nat Commun 17, 1654 (2026). https://doi.org/10.1038/s41467-026-68825-2
 

doi: 10.1038/s41467-026-68825-2

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