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材料科学:通常のプラスチックと同等の強度を持つ生分解性の竹プラスチック

Nature Communications

2025年10月8日

Material science: Biodegradable bamboo plastic as strong as regular plastic

Nature Communications

竹から強靭で生分解性のプラスチックを製造する新手法を報告する論文が、今週のオープンアクセスジャーナルNature Communications に掲載される。このバイオプラスチックは、強度、成形性および熱安定性において、石油由来プラスチックに匹敵するが、土壌中で50日以内に生分解可能であり、持続可能なプラスチック代替品への新たな道筋を示す。

有機バイオマス(竹複合プラスチックなど)由来のプラスチックは、従来の石油由来プラスチックの代替として有望視されてきた。しかし、機械的特性が劣るため、インフラなどの要求の厳しい用途での使用が制限され、普及が進んでいない。さらに、竹複合プラスチックは通常、プラスチックや樹脂に浸漬された竹繊維で構成されるため、完全に分解できず、石油由来プラスチックの真に持続可能な代替品を真に実現する上での障壁となっていた。

Haipeng Yu、Dawei Zhaoら(東北林業大学〔中国〕)は、非毒性のアルコール系溶媒を用いて竹セルロースを分子レベルまで溶解し、その後セルロース分子を誘導して再構築および組織化させ、強靭なプラスチック材料を形成する手法を報告した。溶解過程においてセルロースは化学修飾され、再生時に強固な分子ネットワークの構築を促進する。この竹プラスチックは、ポリ乳酸(polylactic acid)や耐衝撃性ポリスチレン(high impact polystyrene)など広く使用されている複数の商業用プラスチックと比較試験され、110メガパスカル(圧力単位)の引張強度と80キロジュール毎立方メートル(kJ/m³)の破断仕事量(材料を破断させるのに必要な力)を示し、従来のプラスチックや既存のバイオプラスチックを上回った。機械的安定性、熱安定性、および成形性に関する試験においても、竹プラスチックは従来のプラスチックと同等以上の性能を示し、工業用途における実用的な代替材料としての可能性を提示した。さらに、竹プラスチックは土壌中で50日以内に分解可能であり、あるいはクローズドループリサイクル(製品をリサイクルし、同様の製品を再製造するプロセス)が可能で、その過程で元の強度の90%を維持する。これにより、従来のプラスチック材料に代わる、持続可能でありながら、高性能な代替材料としての可能性が実証された。

シュプリンガーネイチャーは、国連の持続可能な開発目標(SDGs;Sustainable Development Goals)、および当社のジャーナルや書籍で出版された関連情報やエビデンスの認知度を高めることに尽力しています。本プレスリリースで紹介する研究は、SDG 9(産業と技術革新の基盤を作ろう)およびSDG 12(つくる責任、つかう責任)に関連しています。詳細は、「SDGs and Springer Nature press releases」をご覧ください。

Tang, H., Tong, Z., Zhang, R. et al. High-strength, multi-mode processable bamboo molecular bioplastic enabled by solvent-shaping regulation. Nat Commun 16, 8729 (2025). https://doi.org/10.1038/s41467-025-63904-2
 

doi: 10.1038/s41467-025-63904-2

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