古生物学:新種の肉食恐竜が白亜紀後期のアルゼンチンを支配していた
Nature Communications
2025年9月24日
Palaeontology: New predatory dinosaur ruled latest Cretaceous Argentina
南米で新たに発見された肉食恐竜の新種Joaquinraptor casaliを報告する論文が、オープンアクセスジャーナルNature Communications に掲載される。この種は、メガラプトル科に属する獣脚類(megaraptoran family of theropods)で、約7,000万年から6,600万年前の白亜紀後期に生息し、同地域における頂点捕食者であったとされる。
メガラプトル類は、肉食性獣脚類恐竜で、細長い頭骨と強力な前肢(大きな爪を持つ)が特徴であり、アジア、オーストラリア、および南アメリカに分布していた。しかし、完全な化石の不足により、このグループに関する理解は妨げられてきた。
Lucio Ibiricu(パタゴニア地質・古生物学研究所〔アルゼンチン〕)、Matthew Lamannaらは、アルゼンチン・パタゴニアのコルウエ・ウアピ湖層(Lago Colhué Huapi Formation)から発見された、頭骨、前肢、後肢、肋骨、および脊椎など大部分が保存され、部分的に連結した化石を報告した。著者らは、この標本が白亜紀後期に属すると断定し、メガラプトル類の中で最も遅くまで生存した種の一つであることを示した。骨の微細構造から、標本は成体(ただし完全な成長段階ではない可能性あり)であり、死亡時の年齢はおそらく19歳であったと推定している。他のメガラプトル類の化石から推定すると、J. casaliは全長約7メートル、体重1,000キログラム以上と推測される。堆積物の証拠から、温暖で湿潤な氾濫原環境で生息していたことが示唆される。J. casaliの下顎に押し付けられた化石化したワニの脚骨の存在は、その摂食行動に関する手がかりを与え、この地域における頂点捕食者であった可能性を示している。ただし、著者らは、その行動や生態的役割に関するさらなる知見を得るには追加の研究が必要だと強調している。
著者らは、J. casaliや他のメガラプトル類が、白亜紀末に非鳥類型恐竜と共に絶滅するまで、南米のこの地域で支配的な捕食者として存続していたと結論づけている。
doi: 10.1038/s41467-025-63793-5
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