古生物学:アッテンボローの化石がクラゲの仲間に関する知見をもたらす
Nature Ecology & Evolution
2022年7月26日
Palaeontology: Attenborough fossil provides insights into jellyfish family
古い刺胞動物(クラゲを含む動物群)について、従来の想定よりも数千万年早い時期にボディープランを確立した新たな化石について報告する論文が、Nature Ecology & Evolution に掲載される。デビッド・アッテンボロー(David Attenborough)の名前から命名されたその刺胞動物の化石は、この動物群の進化史の解明を促進するものと考えられる。
サンゴやクラゲを含む刺胞動物門という動物群には、まばらながらも古く長い化石記録が存在する。
今回、Frances Dunnたちは、英国のチャーンウッドの森(Charnwood Forest)で発見された5億6200万~5億5700万年前(エディアカラン紀)の刺胞動物Auroralumina attenboroughiの化石を発表している。A. attenboroughiはクラゲ類の特徴と花虫類(サンゴ虫類)寄りの特徴を兼ね備え、現生の刺胞動物を含む動物群の最古級種として位置付けられる。Dunnたちはそれについて、子孫がまだこの世に存在する全ての進化的集団に関して知られる中で、最古級の近縁動物かもしれないと論じている。動物のボディープランはその後のカンブリア紀(5億4100万~4億8500万年前)に確立されたと考えられることが多いが、A. attenboroughiはそれをはるかにさかのぼる事例である。
A. attenboroughiの属名は「夜明けのランタン」を意味し、その化石の年代が古いことを表している。本種は、チャーンウッドの森のエディアカラン化石に関する認識を高めた功績で知られるデビッド・アッテンボローに敬意を表して命名された。
doi: 10.1038/s41559-022-01807-x
注目の論文
-
7月18日
疫学:欧州における鳥インフルエンザ発生の主な予測因子が特定されるScientific Reports
-
7月17日
惑星科学:惑星系の誕生の瞬間をとらえるNature
-
7月17日
古生物学:獲物に忍び寄るための古代爬虫類の特殊なヒレNature
-
7月10日
環境:大西洋全域で高濃度のナノプラスチック粒子が検出されるNature
-
7月10日
気候変動:クジラの糞が温暖化に関連する有毒藻類ブルームの大発生を記録するNature
-
7月10日
ゲノミクス:タンパク質は古代のエナメル質に保存されているNature