注目の論文
気候変動:ヨーロッパの極端な天候が環境保護政党の得票率を押し上げるかもしれない
Nature Climate Change
2022年2月8日
Climate change: Extreme weather in Europe could increase Green voting
ヨーロッパ市民が極端な気候事象を経験すると、環境問題への関心と環境保護政党の支持率が著しく高まるかもしれないという研究結果を報告する論文が、Nature Climate Change に掲載される。今回の知見は、気候変動対策に対する国民の支持を決定する要因について理解を深める上で役立つかもしれない。
過去20年の間にヨーロッパ全体で気候変動問題の認知度が高まるとともに、欧州議会における環境保護政党の得票率が上昇した。過去に極端な気候事象を経験したことが、こうした変化の重要な駆動力になったと考えられているが、経験と環境問題への関心と実際の投票行動との因果関係を示す証拠は限られている。
今回、Roman Hoffmann、Jonas Peisker、Raya Muttarakたちは、ヨーロッパの複数の国々を対象とした精度の高い世論調査データと選挙データを用いて、異常気温、猛暑、日照りが、34か国で人々の環境に対する関心を著しく高め、24か国で環境保護政党の得票率を著しく高めた可能性があることを示す証拠を得た。また著者たちは、地域差を調べ、この影響が、より温暖な地中海気候の地域よりも、温暖な大西洋気候や寒冷な大陸気候の地域で顕著に表れていることを明らかにした。こうした予測は、地域の国内総生産(GDP)によって変化しており、極端な気候事象を経験した結果として気候変動対策への支持が増えることは、個人所得水準の高い地域でのみ起こることが示唆される。
doi: 10.1038/s41558-021-01263-8
注目の論文
-
7月18日
疫学:欧州における鳥インフルエンザ発生の主な予測因子が特定されるScientific Reports
-
7月17日
惑星科学:惑星系の誕生の瞬間をとらえるNature
-
7月17日
古生物学:獲物に忍び寄るための古代爬虫類の特殊なヒレNature
-
7月10日
環境:大西洋全域で高濃度のナノプラスチック粒子が検出されるNature
-
7月10日
気候変動:クジラの糞が温暖化に関連する有毒藻類ブルームの大発生を記録するNature
-
7月10日
ゲノミクス:タンパク質は古代のエナメル質に保存されているNature