注目の論文

気候科学:米国都市の温室効果ガス排出量の過少報告

Nature Communications

2021年2月3日

Climate science: Under-reporting of greenhouse gas emissions in US cities

米国の都市は、それぞれの温室効果ガス排出量を、実際よりも平均18.3%過少報告していた可能性があることを報告する論文が、今週、Nature Communications に掲載される。今回の研究から、複数の都市が一部の燃料を省略していると考えられることや、交通機関の温室効果ガス排出量の推定方法が都市ごとに異なる可能性があることが明らかになり、現行の自己申告制度のロバスト性について疑問が投げ掛けられている。

世界中の都市は、人間活動による温室効果ガス排出の主たる原因であり、化石燃料使用による二酸化炭素(CO2)排出量の最大75%に寄与している。多くの都市は、公開されている数種類の全球的または地域的な報告フレームワークのプロトコルのいずれかに従った自己申告法を用いて、温室効果ガス排出量を推定している。こうした自己申告による推定値は、ベースライン排出量と緩和策を決める上で重要だが、それらがどの程度正確なのかは分かっていない。

今回、Kevin Gurneyたちは、全米48都市の自己申告による排出インベントリーを調査した。その結果、海洋上、大気中、道路上の各CO2排出量を算定する際に複数の方法が用いられていること、一部の都市では排出量算定において石油燃料の使用が省略されていることが明らかになった。また、自己申告による排出量とVulcanプロジェクトによるCO2排出量データ製品に基づく独自の推定値(化石燃料からの年間CO2排出量の推定値)を比較したところ、大多数の都市が排出量を過少報告していることが示唆された。例えば、インディアナ州インディアナポリスでは、排出量を26.9%低く見積もっていた。一方、アリゾナ州フラッグスタッフやウィスコンシン州マディソンなどのいくつかの都市では、平均して排出量が過剰に報告されていることが分かった。

不正確な排出量の評価は、有効な緩和戦略の実施を困難にする。これに対して、Gurneyたちは、都市のための最良の緩和戦略実施の指針となり得る体系的な排出量定量化システムの構築に進展が見られると指摘している。

doi: 10.1038/s41467-020-20871-0

「注目の論文」一覧へ戻る

プライバシーマーク制度