持続可能性:海産食品の生産量が2050年までに大幅に増加する可能性
Nature
2020年8月20日
Sustainability: Food from the ocean could increase substantially by 2050
全世界の海産食品の年間生産量が2050年までに2100万~4400万トン増加する可能性のあることを報告する論文が、今週、Nature に掲載される。この増加量は、21世紀中頃に世界の総人口(推定98億人)に供給する食肉量を確保するために必要な増産分の12~25%に相当する。このような持続可能な食料生産の増加を実現できるかは、政策の改革、技術革新、今後の需要など、さまざまな要因にかかっている。
世界の食料需要は増加しており、特に陸上での食料増産が気候変動と生物多様性に及ぼす影響可能性を考えると、他の生態系サービスを損なうことなく供給量を増加させることができるかは依然として明らかでない。現在、天然漁業と海洋養殖によって生産される海産食品は、世界の食肉生産量のわずか17%にすぎないが、世界の食料と栄養の安全保障において重要な役割を果たす可能性がある。
今回、Christopher Costelloたちの研究チームは、4702件の天然漁業のデータを使って、将来の生産量をモデル化し、世界の海洋養殖の可能性を見積もった。彼らは、経済的経営や飼料の制約などの要因を考慮に入れた生物経済学的モデルを用いて、2050年の世界の海産食品の3大供給部門(天然漁業、魚類の養殖、二枚貝軟体動物の養殖)からの食料供給量を算出した。そして、Costelloたちは、これらの推定供給量と需要シナリオを照らし合わせて、今後の海産食品の生産量を算出した。
今回得られた知見から、上記の3つの部門全て(特に2種類の養殖)で、現在よりかなり多くの食料を持続的に生産できる可能性が示された。政策の改革と技術の改良を考慮したシナリオの下では、2050年に世界の総人口を養うために必要とされる食肉生産量の増加分の最大4分の1が海産食品の生産によってもたらされる可能性がある。今回の研究はまた、海産食品の構成が今後大きく変化する可能性も示唆している。現在は天然漁業が優勢であるが、2050年までに海産食品の最大44%が海洋養殖から得られる可能性がある。
doi: 10.1038/s41586-020-2616-y
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