注目の論文
ハリケーンは攻撃的なクモを助長する
Nature Ecology & Evolution
2019年8月20日
Hurricanes aid aggressive spiders
熱帯低気圧の後では、攻撃的な性質のクモのコロニーの方が、穏やかな性質のクモのコロニーよりも生存率と繁殖率が高いことを明らかにした論文が今週掲載される。この研究は、極端な事象が、動物の行動の形成で役割を果たしている可能性があることを示唆している。
熱帯低気圧は、自然生息地に大規模な撹乱を生じる。しかし、頻度が低く予測しがたいことが多いその事象の生態学的影響は、暴風雨の襲来前後で生息地を比較する必要があるため、研究するのが困難である。
Alexander Littleたちは、2018年に米国のメキシコ湾岸と大西洋岸を襲った3つの熱帯低気圧の前後で、集団生活を営むクモ(Anelosimus studiosus)のコロニーのサンプル調査を行った。彼らは、熱帯低気圧の経路を予想することにより、予想経路上にあるコロニーのサイズを評価し、それぞれのコロニーが模擬的被食者に対してどれだけ攻撃的に反応するかを調べたの。著者たちは、クモの巣を振動させて攻撃に出てきたクモを数え、さらに、低気圧の通過から48時間後に現地へ戻ってどのコロニーが生き残ったかを調べ、その後の2回の訪問で卵をいくつ産んだか、孵化した幼虫が何匹かを数えた。低気圧の前に攻撃性が高かったコロニーは、暴風雨襲来後の繁殖率と幼虫生存率が高かった。熱帯低気圧の影響を受けなかった地域では、穏やかなコロニーのほうが有利であった。
doi: 10.1038/s41559-019-0951-x
注目の論文
-
9月9日
気候変動:気温の上昇が添加糖の消費量の増加と関連しているNature Climate Change
-
9月9日
生態学:海洋の温暖化によって脅かされる重要な酸素生産性海洋微生物Nature Microbiology
-
9月4日
気候:地球の炭素貯蔵能力における世界的な限界の確立Nature
-
9月3日
環境:アマゾンの気候変容の鍵となる森林伐採Nature Communications
-
9月3日
気候変動:歴史的データが示す中国における雹嵐発生日数の増加Nature Communications
-
8月28日
環境科学:コンゴ民主共和国を侵食する都市部のガリーNature