注目の論文
森林のゾウはアフリカ熱帯雨林の形成を助けている
Nature Geoscience
2019年7月16日
Forest elephants help shape Africa’s rainforests
森林のゾウが絶滅すると、森林バイオマスが減少し、中央アフリカ熱帯雨林帯の炭素貯蔵量が7%減少する可能性があることを示した論文が、今週掲載される。この研究は、ゾウがアフリカの熱帯雨林の構造を形づくる上で重要な役割を果たしていることを示している。
森林のゾウは、中央および西アフリカの森林で見つかっている。これまでの研究で、大型草食動物は生態系に重大な影響を及ぼし得ることが示されていたが、ゾウがアフリカ熱帯雨林にどのような影響を及ぼすかはほとんど分かっていなかった。
Fabio Berzaghiたちは、ゾウが、アフリカ熱帯雨林の構造や生産性、炭素貯蔵量に及ぼす影響を分析した。彼らはこれらの影響を、ゾウによる擾乱(幹の幅が30センチメートル未満の植物の破壊と定義)を取り込んだシミュレーションモデルおよび野外データに基づいて定量化した。その結果、ゾウによる擾乱に起因する森林の幹数の減少が、木々の間での光、水、空間の競争に変化をもたらすことが見いだされた。こうした変化によって、大きな木密度を持つ、より少なくより大きな木々が出現しやすくなり、これによって炭素貯蔵量が増加する。著者たちは、ゾウが一平方キロメートル当たり0.5頭から1頭という典型的な密度の場合、ゾウによる擾乱が、森林バイオマスを1ヘクタール当たり最大60トン増加させると見積もっている。
doi: 10.1038/s41561-019-0395-6
注目の論文
-
11月28日
古生物学:糞便の科学捜査が恐竜の台頭を記録するNature
-
11月21日
天文学:近くの恒星を周回する若いトランジット惑星が発見されるNature
-
11月21日
気候:20世紀の海水温を再考するNature
-
11月20日
生態学:リュウキュウアオイが太陽光を共有するNature Communications
-
11月19日
気候変動:パリ協定を達成するために、CO2の受動的吸収を計算から分離するNature
-
11月18日
惑星科学:嫦娥6号のサンプルが月の裏側の火山活動の年代を特定Nature