注目の論文
将来の極端な気象に脅かされるビールの供給
Nature Plants
2018年10月16日
Beer supply threatened by future weather extremes
気候変動によって厳しい干ばつや極端な高温の頻度が高まるため、大麦の収穫量が大幅に減少すると予測されることを明らかにした論文が、今週掲載される。結果としてビールの生産量が減少し、ビール価格は上昇すると考えられる。
ビールは世界で最も消費量の多いアルコール飲料であり、主原料の大麦は極端な気象事象の影響を極めて受けやすい。5つの地球システムモデルによるさまざまな将来の気候シナリオでは、干ばつと極端な高温が大幅に頻繁化・激化するが、そうした極端な気象に対するビール供給の脆弱性はこれまで評価されたことがなかった。
Wei Xieたちは、大麦生産とビール供給に関して、将来の極端な気象に対する脆弱性をモデル化した。その結果、大麦収穫量は、予測される気象の厳しさによって平均3~17%の範囲で減少することが分かった。大麦の収穫量が減少すると、より重要な一次産品が優先されるため、ビールの製造に利用可能な大麦の量は相対的に大幅に減少する。そのためXieたちは、国の経済状態や文化に依存して、ビールの消費量は減少し、価格は上昇すると考えている。影響の極めて大きな国の例の1つがアイルランドで、最も厳しい気候シナリオの下では、ビール価格が2099年までに43~338%上昇する可能性がある。
doi: 10.1038/s41477-018-0263-1
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