注目の論文
【天文学】初期宇宙からのシグナル
Nature
2018年3月1日
Astronomy: A signal from the early Universe
ビッグバンからわずか1億8000万年後の初期宇宙からのシグナルについて報告する2報の論文が、今週掲載される。このシグナルの特性はほぼ予想通りだったが、ある1つの特性から、初期宇宙内で通常物質と暗黒物質の相互作用が起こっていた可能性が示唆されている。
「宇宙の夜明け」(最初の星形成が起こった時期)からのシグナルを検出するための国際的共同研究が進められている。初期宇宙において星が形成されると、この星が発する紫外光が原始水素ガスを透過し、水素原子中の電子の励起状態が変化すると予測されている。この遷移は21cm超微細線と呼ばれ、それによって水素ガスが宇宙マイクロ波背景放射からの光子を吸収するようになると考えられ、現在200メガヘルツ未満の周波数で観測可能な電波スペクトルに1つの特徴として現れる。
Judd Bowmanたちの論文では、このシグナルを78メガヘルツで観測できたことが報告されている。観測された吸収プロファイルの幅は予測値とほぼ一致していたが、振幅(吸収深度に対応)が予測値を上回っていた。これは、原始水素ガスの温度が予想より低かったことを示している。
一方、Rennan Barkanaの論文では、水素とそれよりさらに温度の低い暗黒物質との相互作用によって原始水素ガスが冷却された、という考えが示されている。Barkanaは、観測されたシグナルを基に、暗黒物質粒子の質量が陽子数個分に匹敵すると主張している。
doi: 10.1038/nature25791
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