注目の論文
【小惑星】ベスタのでこぼこな地形ができあがる過程
Nature Communications
2017年9月13日
Asteroids: How Vesta was roughed up
小惑星ベスタの表面粗さを制御する要因の1つが地下氷であることを報告する論文が、今週掲載される。小惑星の形成と進化を解明する上で地下氷の存在は重要な意味を持っている。
ベスタは、火星と木星の間にある小惑星帯の中で準惑星ケレスに次いで2番目に大きな質量の小天体だ。NASAの宇宙探査機「ドーン」は、2011~2012年に最初にベスタに接近して観測を行った。その目的は、ベスタの動態と特徴を解明し、この情報から太陽系の歴史に関する手掛かりを得ることだった。もしベスタの表面粗さにばらつきがあれば、その原因は他の小惑星からの衝撃によるクレーター形成だと予想されていた。これに対して、ドーンによる新たな観測結果からは、このばらつきをクレーター形成で説明しきれないことが示唆されている。Essam Heggyたちの研究グループは、高い水素濃度と相関する広大な平坦地が複数存在していることを発見した。こうした地形を総合すると、地下氷の存在可能性が示唆されており、この地下氷がベスタの現在の地表形状の形成原因の1つだった可能性も生まれている。
Heggyたちは、小惑星の表面粗さを知っておくことが将来の宇宙探査機の着陸にとって非常に重要な点も指摘している。
doi: 10.1038/s41467-017-00434-6
注目の論文
-
10月1日
考古学:岩絵は古代アラビア砂漠で繁栄する人類を描いているNature Communications
-
9月26日
生態学:世界大戦時の沈没残骸が野生生物の生息地となっているCommunications Earth & Environment
-
9月25日
生態学:米国河川における魚類の生物多様性の変化Nature
-
9月25日
地質学:サントリーニ島で最近発生した地震は共通のマグマによって説明できるかもしれないNature
-
9月24日
古生物学:新種の肉食恐竜が白亜紀後期のアルゼンチンを支配していたNature Communications
-
9月24日
気候変動:2100年までに世界的に深刻な水不足が発生するかもしれないNature Communications