Primer

注意欠如・多動性障害

Nature Reviews Disease Primers

2015年8月6日

Attention-deficit/hyperactivity disorder

注意欠如・多動性障害
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注意欠如・多動性障害(ADHD)は持続性の神経発達障害であり、世界の小児・思春期の5%、成人では2.5%が罹患している。ADHDでは、生涯を通して、他の精神障害、学業不振と就業困難、事故、犯罪、社会的障害、および薬物依存のリスクが高くなる。ADHDの原因となるリスク因子には、それ単一で必要または十分なものはない。ほとんどのADHD例は、個々の影響が小さいものの共同作用して易罹患性を上げる複数の遺伝的および環境的リスク因子によって発症する。ADHDには多様性があり、広範囲に及ぶ精神医学的共存症、神経認知機能障害の多様な領域、およびこの障害に関連する広範な構造的および機能的脳異常が認められる。このことは、この障害が多くの要因から成り立っていることと一致している。精神障害の標準的基準により評価したADHDの診断は信頼のおける有効なものである。スケールの評点や臨床面接は診断を容易にし、スクリーニングの手助けとなる。症状の発現は、患者の発育段階および社会的状況と学習状況の関係で変動する。ADHDに根治療法はないが、エビデンスに基づく治療方法によって症状や関連機能障害が顕著に抑えられることがある。例えば、効果的で、通常、忍容性が高い薬物治療が行われており、また、有用な種々の非薬理学的アプローチも存在する。現在進行している臨床研究および神経生物学的研究によって、ADHDの診断と治療アプローチが進展することが期待される。

本Primerの図解サマリー

doi: 10.1038/nrdp.2015.20

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