Primer

静脈血栓症

Nature Reviews Disease Primers

2015年5月7日

Venous thrombosis

静脈血栓症
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静脈血栓塞栓症(VTE)は、深部静脈血栓症(DVT)と肺血栓塞栓症に分けられる。VTEは、世界の障害調整生存年損失の原因の第一位であり、心血管死の原因の第三位である。DVTは、血栓後症候群の原因になるが、肺血栓塞栓症は慢性肺高血圧を引き起こすことがあり、いずれの場合もQOLは低下する。血栓症の遺伝的および後天的危険因子には、O型以外の血液型、第Ⅴ因子ライデン変異、経口避妊薬の使用、ホルモン置換療法、高齢、手術、入院および長距離旅行などがある。うっ血、血液凝固亢進および内皮機能不全の合併によって、血栓症が引き起こされると考えられており、ほとんどの場合、大静脈の弁ポケットで血栓が形成される。動物実験から、白血球、血小板、組織因子を含む微小胞、好中球細胞外トラップ、第ⅪおよびⅫ因子の病因的役割が明らかにされている。VTEの診断には検査および他の病態の除外が必要であり、一般的に検査測定(Dダイマーなど)および画像診断が行われる。VTEの治療には、血栓の進展予防と血栓の大きさの減少を目的として、抗凝固薬を使用、時に血栓溶解薬を併用する。抗凝固薬は再発予防のためにも使用される。静脈血栓症の予防と治療には、安全性プロフィールを改善した新しい治療法が必要である。

本Primerの図解サマリー

doi: 10.1038/nrdp.2015.6

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