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抗TNF 療法はRA 患者の滑膜内リンパ様組織新生を抑制できるか

Nature Reviews Rheumatology

2008年9月1日

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滑膜内におけるリンパ様組織新生(SLN)は、二次リンパ器官に類似するリンパ球凝集により、関節リウマチ(RA)をはじめとする自己免疫疾患が認めら れる患者の滑膜組織が浸潤される過程である。このリンパ球凝集は、RA における腫瘍壊死因子(TNF)産生亢進と疾患の重症化に関連することが多い。Cañete らは、RA 患者を対象にSLN に関連する臨床 的・病理学的特性を調べた。

RA 患者86 例(平均60.3 歳、女性67.4%)の膝関節から採取した滑膜生検標本を評価した。SLN+患者(42 例)はSLN-患者(44 例)に比べて罹病期間が有意に長く(平均94.1 ヵ月vs 54.1 ヵ月、P= 0.0006)、生検標本に含まれるCD3+ T 細胞数(P=0.0011)およびCD20 + B 細胞数(P=0.0004)は有意に多かった。追跡調査期間中(平均43 ヵ月)は、逐次療法レジメンにより患者を治療した。SLN の存在は、欧州リウマチ学会(EULAR)の改善基準の独立した負の予測因子であることがわかった。

以前のMTX 療法または抗TNF 療法が奏効しなかった患者24 例を別の群として、12 週間の抗TNF療法(以前に抗TNF 療法が奏効していない場合は別の薬剤を使用)を行った。1 回目の滑液生検でSLN+ であった患者16 例中9 例(56%)は、12 週間後に実施した2 回目の滑膜生検ではSLN-となった。このSLN 状態の抑制により臨床反応も好転した。

RA 患者におけるSLN は、治療に対する不良な反応の予測因子であるが、抗TNF 療法によりSLN 陽性が陰性化する患者もいると著者らは結論づけてい る。

doi: 10.1038/ncprheum0867

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