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PPARγ:脂肪生成および骨形成における概日性転写因子

Nature Reviews Endocrinology

2010年9月7日

PPARγ a circadian transcription factor in adipogenesis and osteogenesis

ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)は脂肪生成およびグルコース代謝において重要な因子であるが、骨代謝にも影響を及ぼすことが種々のエビデンスから明らかになりつつある。PPARγアゴニストのチアゾリジンジオン誘導体は血糖値を低減させることから、2 型糖尿病の治療に広く用いられている。その一方で、骨量低下や骨折と関連することも示唆されている。チアゾリジン ジオン誘導体が骨量低下をもたらす原因の1 つとしては、同誘導体によって引き起こされる骨髄微小環境の変化、すなわち骨形成抑制による骨髄脂肪細胞の増加が考えられる。さらに、PPARγは概日性ネットワークと代謝反応との間の調節機構において中心的な役割を果たすことが、一連のエビデンスから示されている。概日性のPPARγ発現は、高脂肪食の摂取によって増強される。末梢組織の概日性を調節する遺伝子の1 つであるノクターニンは、PPARγ活性を高めることが明らかにされている。重要な点として、ノクターニン欠損マウスでは食餌誘発性の肥満が予防される一方、概日性のPPARγ発現の増強が抑制され、かつ骨量が増加する。そこで本稿では、脂肪組織および骨代謝におけるPPARγ の役割に関して新たに得られた知見に焦点を当てるとともに、食物貯蔵、エネルギー消費および骨代謝を調節する複雑な概日性制御システムにおいてPPARγ が重要な役割を担っていることを示す種々のエビデンスについて概説する。

doi: 10.1038/nrendo.2010.155

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