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肥満症に対する行動療法と薬物療法

Nature Reviews Endocrinology

2010年8月3日

Behavioral and pharmacologic therapies for obesity

本稿では肥満症に対する行動療法と薬物療法の新たな進展についてレビューするとともに、ゲノム研究が体重コントロールに寄与する可能性について探る。 肥満症患者ではライフスタイルの改善、食事療法、運動療法および行動療法といった広範なプログラムによって初期体重が平均7 ~ 10%減少する。これらの減量に加えて身体活動量をさらに増加させると、耐糖能異常を有する患者において2 型糖尿病の発症リスクがかなり減少することが、2 件の試験により明らかにされている。そこで今度は、ライフスタイル介入により過体重の糖尿病患者の心血管罹患率および同死亡率が低下するかどうかを検討する試験が行われている。また一部の患者では、こうしたライフスタイル介入と薬物療法を併用することが推奨される。現在米国では、orlistat およびsibutramine の2 つの薬剤が長期的な体重減少に対して承認を受けている。Sibutramine の使用に関しては有害事象が指摘されているものの、いずれの薬剤もライフスタイル介入との併用において一定の効果を示すことが確認されている。その他、食欲と体重を調節する複数の視床下部経路をターゲットとした新たな併用療法についても検討が行われている。さらにゲノム研究によって、これらの伝達経路による体重調節における役割に関するエビデンスが蓄積されている。摂食とエネルギー消費をコントロールする遺伝子を同定することによって、新たな薬物療法を開発するうえで有用な手がかりが得られる可能性がある。

doi: 10.1038/nrendo.2010.121

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