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多腺性自己免疫症候群

Nature Reviews Endocrinology

2010年3月23日

Autoimmune polyglandular syndromes

多腺性自己免疫症候群は、自己免疫性内分泌疾患および非内分泌疾患の組み合わせからなる一連の症候群で、疾患の組み合わせおよび発症原因の免疫学的特 徴に基づき分類されている。3 つの主な症候群の1 つである多腺性自己免疫症候群1 型(APS-1)では、autoimmune regulator(AIRE )遺伝子の変異が特徴的な発症メカニズムであり、この変異は胸腺における分化の早期の段階で自己抗原に反応しうるT 細胞の発達を抑制する制御システムである中枢性免疫学的寛容を障害する。IPEX(免疫機能不全、多腺性内分泌障害、腸疾患、伴性劣性遺伝) 症候群患者では、制御性T 細胞のフォークヘッドボックス P3(FOXP3 )遺伝子が変異しており、重篤な自己免疫および免疫不全を引き起こす。これらいずれの疾患も稀ではあるが、発症メカニズムがよく研究されており、より高い有病率を示す多腺性自己免疫症候群2 型 (APS-2) を理解するうえでの基礎となっている。APS-2 では、ヒト白血球抗原(HLA)対立遺伝子によって自己反応性T 細胞による組織特異的な攻撃が決定づけられており、免疫寛容の消失によって特異的臓器への自己免疫が誘発される。非HLA 遺伝子もまたAPS-2 の自己免疫に関与し、遺伝子多型によって、免疫寛容の破綻または特異的臓器への攻撃を誘導 すると考えられる。本総説では、自己免疫のメカニズムの重要な点とともに、APS-1、APS-2 およびIPEX 症候群の遺伝子学的側面について考察し、これらの疾患の根底にある自己免疫疾患に対する最新の治療方法を紹介する。

doi: 10.1038/nrendo.2010.40

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