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血糖降下療法により心血管リスクは低下するか?

Nature Reviews Endocrinology

2009年5月1日

Is it possible to reduce cardiovascular risk with glucose-lowering approaches?

糖尿病は心血管イベントの強力な独立リスク因子であり、血糖値の上昇の程度は同リスクレベルの重要な決定因子である。これまでに実施された臨床試験では、罹病期間が長く、糖尿病の診断が確定している患者において血糖値の低下が明確な心血管ベネフィットをもたらすことは確認されておらず、1件の試験では血糖降下療法により死亡率が上昇することも指摘されている。しかし、発症後間もない糖尿病患者では、血糖コントロールにより糖尿病性眼疾患および腎疾患(いずれもそれ自体が心血管リスク因子にもなりうる)に対するベネフィットが得られることも示されている。また、これらの患者を対象に強化血糖降下療法を10年間実施すると、心筋梗塞および死亡リスクが15~20年間低減することが明らかにされている。糖尿病の有病率が上昇し続けていることや、糖尿病患者の罹病期間が一般に生涯の20~40年を占めることを考え合わせると、血糖コントロールと血糖値上昇の予防の重要性が支持される。現在得られているエビデンスから、糖尿病の早期に高血糖を標的とする治療を行うことにより、長期間にわたり心血管ベネフィットが得られることが示唆される。

doi: 10.1038/nrendo.2009.49

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