Review Highlight

妊孕性と妊娠における自己免疫性甲状腺疾患の役割

Nature Reviews Endocrinology

2008年5月27日

The role of thyroid autoimmunity in fertility and pregnancy

妊娠前および妊娠中は、甲状腺系と性腺系が絶えず相互作用する。甲状 腺機能低下症は性ホルモン結合グロブリン値を低下させ、プロラクチン分 泌を増強させることにより、卵巣機能に影響を及ぼす。妊娠可能年齢の女 性において、甲状腺機能低下症に対するサイロキシン補充療法により回復 は可能であり、妊孕性が改善され、生殖補助医療を回避することができる。 不妊女性に対する生殖補助医療ではその準備段階として卵巣過剰刺激が行 われるが、これによって血中エストロゲン値が大きく上昇し、甲状腺機能 が著しく障害される可能性がある。自己免疫性甲状腺疾患のない女性では これらの変化は一過性のものであるが、自己免疫性甲状腺疾患を有する女 性では妊娠期間を通してエストロゲン刺激が甲状腺機能に異常をもたらす 可能性がある。自己免疫性甲状腺疾患の有病率は、正常の妊娠可能女性よ りも不妊女性、特にその原因が子宮内膜症または卵巣機能不全にある女性 においては有意に高い。自己免疫性甲状腺疾患は胚着床には影響を及ぼさ ないが、早期流産のリスクを著しく上昇させる。潜在性および顕性甲状腺 機能低下症は妊娠に関連した合併症の発症リスクを上昇させるが、これら に対してはサイロキシン療法が有用な可能性がある。妊婦における甲状腺 異常の体系的なスクリーニングについてはまだ議論の余地があるが、高リ スク女性、特に不妊女性に対しては有益と考えられる。

doi: 10.1038/ncpendmet0846

レビューハイライト

レビューハイライトへ戻る

プライバシーマーク制度