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クッシング症候群の診断における深夜の唾液中コルチゾール測定

Nature Reviews Endocrinology

2008年4月29日

Late-night salivary cortisol measurement in the diagnosis of Cushing’s syndrome

クッシング症候群の確定診断は困難であり、コントロール不良の糖尿病 患者の2 ~ 3%、高血圧患者の0.5 ~ 1%、副腎偶発腫瘍患者の6 ~ 9%、原 因不明の骨粗鬆症および椎体骨折患者の11%がクッシング症候群を発症す ることが報告されている。同症候群に対する認識が高まるにつれ、簡便で かつ感度と特異度の高い診断検査法の必要性が求められるようになってい る。一般的にクッシング症候群の患者では、夜になってもコルチゾール値 が正常で認められる最低値に到達しない。そこで、深夜の唾液中コルチゾー ル測定が同症候群の新たな診断検査法となりうる可能性が示唆されている。 唾液中のコルチゾール値は血漿中の活性型遊離コルチゾール値を反映して おり、また、唾液試料は自宅等でのストレスのかからない環境で容易に採 取可能である。深夜の唾液中コルチゾール測定によるクッシング症候群の 診断精度は感度92 ~ 100%、特異度93 ~ 100%と概して優れている。しか し、いくつかの因子が測定結果の解釈を困難にさせる可能性もある。これ らの因子として睡眠・覚醒リズムの障害、唾液試料の汚染(特にステロイ ド外用剤による)、下垂体─副腎系を生理的に活性化させる疾患等が挙げら れる。本稿では、クッシング症候群を診断するための唾液中コルチゾール 測定方法とその有用性について述べるとともに、診断精度を最大限に高め るための推奨事項をいくつか提示する。

doi: 10.1038/ncpendmet0837

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