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社会科学:週4日勤務制が労働者のウェルビーイングを向上させる

Nature Human Behaviour

2025年7月22日

Social science: Four-day workweek improves worker well-being

Nature Human Behaviour

収入減を伴わない週4日勤務制は、業務パフォーマンスの向上、疲労感の低減、および睡眠問題の減少を通じて、労働者の仕事の満足度および身体的と精神的健康を高めることを報告する論文が、Nature Human Behaviour に掲載される。この研究結果は、組織や政策立案者が、労働時間を見直すことによって従業員のウェルビーイングを向上させる可能性を明らかにしている。

1日6時間労働や労働時間の20%削減など、労働時間を短縮する取り組みが最近世界中で試みられている。例えば、4 Day Week Globalイニシアチブは、約375社が参加し、多くの国でトライアルを実施し、賃金を下げずに週労働時間を短縮することが、いかに労働環境の改善につながるかを調査している。

Wen Fan、Juliet Schorらは、週4日勤務制(労働者の給与の減額なし)介入の効果を検証するため、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国、アイルランド、および米国の141組織で、2,896人の従業員を対象に6カ月間のトライアルを実施した。調査データを用いて、仕事と健康に関連する指標(燃え尽き症候群、仕事の満足度、および身体的と精神的健康など)を介入前後で比較した。また、介入を試行しなかった12社の従業員285人から得られた結果とも比較した。

Fanらは、週4日勤務の介入後、平均労働時間が週5時間程度減少することを発見した。週8時間以上短縮された従業員は、週5日勤務を維持した企業の従業員と比較して、燃え尽き症候群がより大きく軽減され、仕事に対する満足度と精神的健康が改善されたと自己報告した。週労働時間を1– 4時間、5–7時間短縮した従業員にも、より小さいながらも同様の効果が観察された。これらの効果は、睡眠障害や疲労度の減少、個人の仕事遂行能力の向上によって部分的に説明された。

著者らは、給与の減額を伴わない週労働時間の短縮や労働時間の短縮は、仕事の満足度や労働者の健康の改善に役立つことを示唆している。本研究の主な限界は、企業が自主的に参加したことであり、その結果、サンプルは英語圏の中小企業が中心となったことであると指摘している。著者らは、労働時間短縮に関する将来の無作為化研究を、場合によっては政府主導のトライアルを通じて行うことを求めている。

  • Article
  • Published: 21 July 2025

Fan, W., Schor, J.B., Kelly, O. et al. Work time reduction via a 4-day workweek finds improvements in workers’ well-being. Nat Hum Behav (2025). https://doi.org/10.1038/s41562-025-02259-6


 

doi: 10.1038/s41562-025-02259-6

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