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化学療法は、腫瘍に対する免疫を鈍らせる

Nature Medicine

2012年12月3日

Chemotherapy blunts immunity against tumor

広く使われている2種類の化学療法薬が、免疫応答を変化させることによってマウスの腫瘍の成長を助けることが判明した。がんの化学療法では、免疫系の関与によって治療の効果が限定される場合があるようで、今回の知見から、その仕組みが明らかになった。がんの治療薬が、腫瘍を標的とする体の自然免疫応答にどのように作用するかは、盛んに議論されている。化学療法が免疫を抑制することを示す研究もあれば、化学療法は腫瘍に対する免疫応答を強化するとの報告もある。

Francois Ghiringhelliたちは、臨床で使用されている2種類の化学療法薬(5-フルオロウラシルとゲムシタピン)が、骨髄由来サプレッサー細胞でNlrp3インフラマソームというタンパク質複合体を活性化することを発見した。この活性化がインターロイキン(IL)-1βの放出を引き起こし、つぎにこのIL-1βが、T細胞に腫瘍形成促進性のIL-17を生産させる。その結果、マウスの腫瘍の成長が促進される。

これらの化学療法薬は、Nlrp3やIL-17を持たないマウスやIL-1受容体アンタゴニストを投与したマウスでは、腫瘍に対し、より強力な成長阻害効果を示す。これらの知見は、化学療法と組み合わせてインフラマソーム経路も標的にすれば、腫瘍形成促進性免疫応答の誘発を防いで、化学療法の腫瘍致死効果を改善できる可能性があることを示している。

doi: 10.1038/nm.2999

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