古生物学:オオサンショウウオに似た捕食動物
Nature
ペルム紀前期(約2億8000万年前)に現在のナミビアに当たる地域に生息していた、サンショウウオに似た大型動物(Gaiasia jennyaeと命名された)について報告する論文が、今週、Natureに掲載される。この捕食動物は、長さ60センチメートルと推定される頭蓋骨を持ち、同種の中で最も大きかった可能性がある。今回の知見は、化石記録の空白を埋めるものであり、初期の四肢動物の生息地がこれまで考えられていたよりも広範に世界中に分布していたことを示している。
四肢動物(両生類、爬虫類、哺乳類、鳥類などの四肢を持つ陸生脊椎動物)の初期進化に関する学説の大部分は、古代の赤道付近に位置していた石炭が産出される広大な湿地帯で発見された化石によっており、これらの地域は、現在のヨーロッパや北米に当たる。しかし、Gaiasiaは、それよりかなり南方のナミビア北西部で発見されており、南緯55度付近にあった南の超大陸「ゴンドワナ超大陸」に生息していた。
Gaiasiaの分類は、頭蓋骨の破片や不完全な脊椎骨など、少なくとも4つの不完全な個体の化石に基づいている。今回、Claudia Marsicanoらは、Gaiasiaの頭蓋骨の基底長を60センチメートルと推定しており、これはヨーロッパや北米の近縁種よりもはるかに大きい。また、頭蓋骨と顎の構造から、Gaiasiaは、噛む力が強く、大きな獲物を捕らえることができたとが示唆された。同時掲載のNews & Viewsでは、Christian Sidorが、「Gaiasiaの胴体の全長は2.5メートル以上だったことが証拠によって示唆されている」と述べている。
Marsicanoらは、Gaiasiaが、両生類に似た絶滅種であるコロステウス科動物に近縁の古代生物だったと考えている。コロステウスは、それよりもさらに古い時代の生物の特徴を持っており、石炭紀後期(3億700万年前ごろ)に、より現代的な両生類や爬虫類に取って代わられた。jennyaeという種小名は、四肢動物の初期進化に関する考え方を一変させる研究を行った古生物学のパイオニアである故ジェニファー・A・クラック(1947~2020年)に敬意を表したものとなっている。
doi: 10.1038/s41586-024-07572-0
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