Nature ハイライト

Cover Story:融解の実情:氷床融解の機構と影響のより正確な描像

Nature 566, 7742

南極横断山脈のレネガー氷河。東南極の氷床はかつてはあまり変化がないと考えられていたが、現在は変化を示す兆候が増えてきている。
南極横断山脈のレネガー氷河。東南極の氷床はかつてはあまり変化がないと考えられていたが、現在は変化を示す兆候が増えてきている。 | 拡大する

Credit: Nick Golledge

今週号の2報の論文は、融解する氷床に注目している。N Golledgeたちは、グリーンランド氷床と南極氷床の融解水の連鎖的な影響を調べている。彼らは、衛星による最近の氷床質量の変化の測定結果を用いて現行のシミュレーションを改善し、将来の氷床融解によって2100年までに海水準が最大25 cm上昇するとともに、海洋循環の主要な部分が減速して、南極の融解がさらに進み、気候の変動性が増大することを示している。一方、T Edwardsたちは、南極大陸では棚氷が融解すると沿岸の氷崖が急速に崩壊するという海氷崖不安定性(MICI)仮説を再考している。彼らは、過去の海水準上昇の説明には氷崖の崩壊は必要ではないことを見いだしており、予測にこの仮説を含める必要性に疑問を投げ掛けている。EdwardsたちのMICIを含めないモデルでは、2100年までの予測で、全ての95パーセンタイル値が43 cm未満であった。

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