Nature ハイライト

量子物理学:原子を並べ替える

Nature 561, 7721

量子コンピューティングや量子シミュレーションの大規模応用には、個別に制御される多数のキュービットが必要となる。このため、最近の取り組みには、日進月歩で向上する低温原子並べ替え実験の開発が含まれている。今回D BarredoたちとD Weissたちがそれぞれ、低温の中性原子を規則正しく密に充填した三次元格子を実現できることを示している。Barredoたちの手法は、ホログラフィック光ピンセットに基づくもので、格子形状を高度に調節できる。これにより、最大72個のルビジウム原子を含み、全く任意の形状をとることができる、充填率がほぼ1の三次元アレイが実現された。一方、Weissたちは、「マクスウェルの悪魔」の思考実験から着想を得て、系の総エントロピーを量子縮退しきい値未満に低下させながら、三次元格子にセシウム原子を密に充填した。今回の結果は、中性原子量子コンピューターを用いる量子情報処理への有望なステップとなる。

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