Nature ハイライト

構造生物学:プロモーターに結合したTFIIDの構造

Nature 531, 7596

今回、ヒトの基本転写因子IID(TFIID)とコアプロモーターDNAとの相互作用が、低温電子顕微鏡を使って調べられた。TFIIDは、TATA結合タンパク質(TBP)と13個のTBP随伴因子[TBP-associated factor(TAF)1–13]から構成され、プロモーターでの転写開始前複合体(PIC)組み立ての際の核となることで、RNAポリメラーゼIIに依存する転写開始に中心的な役割を担っている。E Nogalesたちは、TFIIAとコアプロモーターDNAとに結合したTFIIDのサブナノメートル分解能での低温電子顕微鏡構造を決定し、さらにTAFを欠くヒトPICの完全に集合した構造を低温電子顕微鏡法を使って再構築した。TFIID–TFIIA–プロモーターの構造と、TAFを欠くPIC構造について共通する要素を重ね合わせることで、TFIIDを基盤とする完全なPICの構造モデルが考えられ、プロモーターの認識、PICの組み立ておよび転写開始におけるTFIIDの役割に関する手掛かりが得られた。

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