Nature ハイライト

発生生物学:生殖細胞におけるNanogの役割

Nature 529, 7586

転写因子遺伝子Nanogはマウスの多能性細胞にも始原生殖細胞にも発現しているが、生殖細胞におけるNanogの役割は解明されていなかった。in vitroでエピブラストへと細胞運命を変換された胚性幹細胞は、シグナル伝達分子BMP4に曝露されると生殖細胞への運命も獲得できる状態にある。今回A Suraniたちは、このような胚性幹細胞ではBMP4が存在しなくても、Nanogの発現のみで生殖細胞への運命を誘導できることを見いだした。このようなプライム型エピブラストに起こったクロマチンのリセットにより、NANOGが重要な生殖細胞因子に結合して、その発現を活性化できるようになることが実証された。多能性因子Sox2は、エピブラスト状態ではNanogがこれらの生殖細胞因子に与える作用を防止するが、ナイーブ型胚性幹細胞ではSOX2とNANOGは協調して多能性を維持させる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度