Nature ハイライト

微生物学:真菌病原体を引き寄せる植物の性フェロモン

Nature 527, 7579

真菌病原体は、化学シグナルに応じて菌糸を植物宿主に向けて伸長させるが、それに関わる機構はまだよく分かっていない。今回A Di Pietroたちは、植物病原体であるフザリウム属菌類Fusarium oxysporumがトマト(Solanum lycopersicum)の根に向かって伸長するのを誘導するのは、トマトが分泌するクラスIIIペルオキシダーゼであり、このF. oxysporumの応答には膜貫通タンパク質Ste2が必要なことを明らかにした。Ste2は、酵母の性フェロモンα受容体のホモログである。著者たちはさらに、MAPKカスケードを介したシグナル伝達がF. oxysporumの伸長誘導に関わっており、異なる化学シグナルには機能的に異なるカスケードが応答していることを明らかにした。これらの結果は、真菌のフェロモン感知機構が、土壌のような複雑な環境中で植物宿主を探す役割を担っている可能性を示唆している。

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